
CoenがHC就任後、その経緯からかスタッフ集めに苦労している印象です。特にTBからはすべてのインタビューを拒否されています。他チームファンもCoenが悪者、断られて当然という意見が多いようですが、JAXファンとしては少し納得いかない部分もありますね。それについては最後にまとめてます。
ともあれめでたくDCは決定しました。OC、OLコーチの選考が続いていますが、願わくば優秀な人材が集まってくれることに期待します。
今回は主にこれらの記事を参考にしています。
https://www.si.com/nfl/packers/losing-anthony-campanile-to-jaguars-would-be-major-blow-for-packers
DC決定までの流れ
STCであるHeath Farwellの続投が決まった後、OC Press Taylor(その後CHIのPGCに就任)、DC Ryan Nielsen、OLC Phil Rauscherがチームに戻ってこないだろうことが報じられました。そしてDCの後任として以下4人と面談を行いました。
- Anthony Campanile(GB Run Game Coordinator/LBコーチ)
- Patrick Graham(LV DC)
- Aubrey Pleasant(LAR Assistant HC/Passing Game Coordinator)
- Daronte Jones(MIN DBコーチ)
一時Graham優勢との報道もありましたが、結局LVに戻ることが決まりました。本人は乗り気であり、オーナーはじめフロントも気に入っていたものの、Coenが望まなかった、との噂もありましたが、続報では普通にお断りされたようです。その翌日にCampanileのDC就任が発表されました。
We have hired Anthony Campanile as our Defensive Coordinator. pic.twitter.com/aBmhBlZR2a
— Jacksonville Jaguars (@Jaguars) January 31, 2025
経歴
1982年生まれの42歳。Rutgers大出身で現役時代はLB/Sとしてプレー。
2005年にRutgers大でアシスタントコーチとしてコーチングキャリアを開始。
2006年に母校である高校のコーチとしてコーチングキャリアを開始。
2012年より以下カレッジで指導。
・Rutgers(2012-2015)
・Boston College(2016-2018)
・Michigan(2019)
2020年にNFL入りし、MIAのLBコーチに就任。4年にわたりMIAに所属し、2022年にHCがBrian FloresからMike McDanielに代わった際も留任していることから彼が高い評価を受けていたことが伺える。また2023年には現PHIでリーグトップディフェンスを構築しているVic Fangioの下で学んでいる。
2024年にNYGのDC候補として面接を受けたが、GBのHCであるMatt LaFleurが彼を説得しRun Game Coordinator/LBコーチに就任。DC Jeff Hafleyの下で1年間を過ごす。
そして今回、他に以下の選択肢があった様子だがJAXのDC就任が決定。
・Robert SalehがHCとなった場合のSFのDC
・Penn StateのDC
なお、父も高校のフットボールのコーチ、4兄弟の他の3人もそれぞれカレッジや高校でコーチをしているコーチングファミリーのよう。
コーチとしての評価
Coenの評価
Coenは月曜日の記者会見にてDCの役割について以下のように発言しています。
「私は(ディフェンスに)関与するつもりだが、それはスタイルやアイデンティティの共有が目的だ。我々が求めるプレースタイルをチーム全体に浸透させるためにミーティングに参加することもあるだろう。」「もちろん私はオフェンスやTrevor(Lawrence)の指導に深く関与するが、ディフェンスにも存在感を示し、チーム全体の結束を高めるような働きをしたい。ただし、新しいDCには自主性と自信をもって仕事をしてほしいとも思っている。彼の個性や信念がディフェンスのプレーに反映されることを望んでいる。」
CoenはDC就任後に彼について、「Anthony Campanileは、我々のディフェンス、そしてチーム全体として目指すスタイルを体現している。彼はアグレッシブなディフェンス思想を持ち、選手がスピードとフィジカルを活かしてプレーできる適応性の高いシステムを導入できる人物だ。」と語っており、まさに当初に言っていたような理想の人材なのではないでしょうか。
GBでの評価
GBのDCであるJeff Hafleyは2024年シーズン中に
「彼は私がこれまでに出会った中で最も忠実で優れた人物の一人だ。そして最高のフットボールコーチの一人でもある。彼がチームにいてくれて本当に嬉しいよ。記者の皆さんも彼のことを気に入るだろうし、選手たちも彼を愛するはずだ。それが何よりも重要なことなんだ。」
「我々は一緒に仕事をしたことはなかったが、15年以上の付き合いがあるように感じている。彼は素晴らしいコーチであり、私が尊敬する人物の一人だ。」
と語っており、終盤には
「彼のコーチとしての知識、指導の熱意、そして人としての素晴らしさに対して、私は大きな敬意を抱いている。」と発言しており高く評価していたことが伺えます。
現地ファンからも概ね好意的な評価を得ているようですね。
コーチングの理念
Campanileはシーズン最終戦前のインタビューで、ディフェンスの基本理念について次のように語っていました。
「目の使い方が正しければ、足の動きも正しくなり、素早くポジションにつける。手を正しく使えれば、時間を稼げる。これはランディフェンスにおける基本的な要素であり、体の位置、足の置き方、バランスの維持、ハンドテクニック、パッドレベルが重要になる。これらはただ口で語るだけでなく、毎日徹底的にドリルを行う必要がある。これはまるで武道のようなものだ。」
また、Campanileは2023年のシーズン中のHard Knocks(NFLチームのトレーニングキャンプやレギュラーシーズンを追跡する人気ドキュメンタリー番組)での強烈なスピーチにより一躍脚光を浴びました。彼のパッションが伝わってくる動画となっていて、以下にその一部を抜粋します。元動画はYouTubeにもアップされているのでぜひ見てみてください。
「人は愛する人のためにプレーしている時に最高のパフォーマンスを発揮する。全ての練習時間、全ての犠牲、それらは試合の日に『愛する人たちに敬意を表する』ためにある。それが我々の仕事だ。」
「ボールを攻撃しろ。まるでお前の家族を奪おうとする奴が走っているかのように、決して逃がすな。」
「”痛み”は万国共通の言語だ。ギリシャに言っても、誰かが痛めつけられていたら、何が起こっているか理解できるだろう。」
「だからこそ、我々はそれを避けるために最善を尽くす。”努力で負けない”という条件をクリアし、それで結果がどうなるか見てみようじゃないか。」
「『全力で尽くす』と誓いを立てろ。パンチをやめるな。ボールを奪うのをやめるな。ブロックをやめるな。最後まで戦い抜け。」
特徴
多彩なバックグラウンドを持ち、4-3と3-4ディフェンスの両方を採用するコーチの下で指導経験を積んできた。また、複数のフロントを駆使し、ブリッツを多用する戦術からSimulation Blitzを重視する戦術まで、幅広い戦略に精通している。さらに、彼はディフェンスのフロントに適した多彩なカバレッジを組み合わせる手法にも長けている。Hafleyは対戦相手ごとに戦略を変え、選手たちが成功しやすい状況を作りだす適応力が特徴としておりその影響も受けていることが考えられる。
実績
スタッツは2023年から2024年にかけて全体的に改善しているが、DCがJoe BarryからJeff Hafleyに代わっている影響が大きいと思われるため、どこまで彼が寄与しているかは定かではない。ただ、Run Game Coordinatorとしてランには大きく貢献しているのではないか。2024年のGBのランディフェンスは近年でもトップレベルだった、とも言われている。
- 失点:20.6→19.9/G(10→6位)
- 被ラッシングヤード:128.3→99.35Yds/G(28→7位)
- 1キャリーあたりの平均ヤード:4.4→4.0Yds/Att(23→3位)
GBが1試合平均100yds未満のランディフェンスを達成したのは2009年以来初とのこと。
また、LBコーチとしてルーキーとして目覚ましい活躍をしたEdgerrin Cooperを指導し、2回のNFC Defensive Player of the Weekと12月/1月のNFC Defensive Rookie of the Month受賞に導いている。
JAXでの展望
昨年のJAXのスタッツは以下の通り。
- 失点:25.6/G(27位)
- 喪失ヤード:390.0yds/G(31位)
- ターンオーバー:9(32位)
- 1stダウン:22.9/G(31位)
- パス喪失ヤード:257.4yds/G(32位)
- パスTD:29(26位)
- INT:6(30位)
- パス1回あたりのネットヤード:7.1(32位)
- ラン喪失ヤード:132.6yds/G(25位)
- ランTD:19(23位)
- ラン1回あたりのヤード:4.4yds/Att(15位)
- 平均ドライブ時間:3:09(32位)
- 1ドライブあたりの平均プレー数:6.5(31位)
- 1ドライブあたりの平均ヤード:36.8yds(31位)
- 1ドライブあたりの平均失点:2.43(31位)
壊滅的でした。記事によるとNielsenは選手たちに傲慢な態度をとったことでチーム内の不和を招いたとのこと。Campanileにはこのディフェンスをなんとか立て直してもらわなければなりません。
しかし壊滅的ではあるもののJAXにはタレントは一定数揃っています。EDGEのJHAとWalkerはリーグでも屈指のデュオだと思いますし、LBには万能なOluokunとランディフェンスに強いLloyd、期待の新星Miller、CBはケガがなければリーグ平均は超えるCampbellとルーキーで活躍したJarrian Jonesがいます。確かにDT、CB、Sにタレントが必要ではありますが、そこが補強できれば1年でそれなりには持ち直せる選手はいるのではないかと思っています。彼ならきっとやってくれると信じています。
コーチ選考が難航
現在、JAXはOC、OLコーチの採用に重点が置いています。OC探しについては特に難航している様子はありませんが、OLコーチ採用は難航している印象です。
JAXはTBのOLコーチ Kevin Carberry、アシスタントOLコーチ Brian Picucciに関心を示していました。両者ともCoenとは旧知の中であり、特にPicucciはCoenがKentucky大からTBに連れてきた人物です。TBのOLが優秀であることは広く知られており、Coenとしては理想的な人選だったと考えられます。しかし、TBは両者の引き抜きを拒否しました。
そもそも、自分も勘違いしていたのですが、NFLではアシスタントコーチの昇格が「OC」、「DC」でない限り、現所属チームが引き抜きを拒否する権利を持っています。例えば、アシスタントHCやPGC、RGCの役職の付帯、アシスタントOLコーチからOLコーチの昇格などは、このルールの対象外です。
したがって、今回のTBの対応はルール上も問題なく、また戦力維持の観点からも合理的であり、批判されるものではないでしょう。
ただ、それを理解した上で、個人的な意見として、TBを批判するつもりもないのですが、コーチがよりよい待遇やキャリアアップを求めて移籍する機会が奪われるのはどうなのか、という疑問は残ります。
例えば、Coenに対しては「JAXの2回目の面接を受けないこと」を条件に残留・昇給が提示されました。仮にJAXのHCを断ったとしても、面接を受けた時点で昇給の可能性がなくなる状況であれば、自分ならむしろ残りたくなくなると思います。
基本的にコーチ業を続けていれば、多くの人の最終目標は「HC」になることです。もし最初から「昇給をするから残留してほしい」と提示されていれば、むしろ残留の可能性は高くなったのではないでしょうか。そうでなくてもHCになることは祝福すべきことであってほしいです。
一方で、DETは今回7人のアシスタントコーチを失っています。このうち4人はHC、OC、DCへの引き抜きであり、チーム側には拒否権がありません。しかし、残りの3人は以下のような昇格でした。
- WRコーチ→アシスタントHC
- アシスタントQBコーチ→QBコーチ
- TEコーチ→OLコーチ
これらは拒否することも可能でしたが、DETはコーチのキャリアを考慮し、許可をしたのではないでしょうか。
今回、CarberryはOLコーチ→アシスタントHC/OLコーチ、PicucciはアシスタントOLコーチ→OLコーチへの昇格が想定されていたとされています。これはコーチにとってキャリアアップと昇給の機会だったはずです。特にPicucciはCoenとともに動いてきた背景を考えると、一緒に移籍することは珍しいことではありません。
チームが戦力維持を優先するのは理解できますが、コーチ個人のキャリアを尊重する姿勢も必要ではないでしょうか。Coenの行動に批判の目が向けられるのももっともだと思いますが、JAXやCoenが一方的に悪者にされるのは気持ちのいいものではありません。もちろんコーチ本人がJAXという「色々問題のある人気のないチーム」への移籍を望んでないのであれば問題はありませんが。
現在、JAXはBUF、SF、LARのアシスタントOLコーチにも声をかけているようです。今後の動向を引き続き注視していきたいと思います。