
それでは前回に引き続いて年次総会でのLiam Coenの記者会見の翻訳記事です。
今回はチーム作りの根幹となる「カルチャー構築」や「コーチングの哲学」、そしてそれを支える「スタッフ構成」などについて語った部分を中心に取り上げます。
Coenがこれまでに受けてきた影響や、チームの土台作りに対する考えが滲む内容となっており、ファンとして未来に期待が持てる理由の多くが今回の部分にあると思っています。
※注意:以下は公式のインタビュー動画です。翻訳・要約はAIや翻訳ツールなども使いながら行っていますが、読みやすさや雰囲気を伝えるため、一部オリジナルの表現とは異なる箇所があります。
正確なニュアンスを知りたい方は、ぜひ動画本編をご覧ください。
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インタビュー本編
カルチャーの構築
17選手たちがオフシーズン明けにチームに戻ってきたとき、彼らはどんな雰囲気の中に足を踏み入れることになるのでしょうか? [15:02]
まず彼らが感じるのは、“エネルギー”だと思います。私たちが最も意識しているのは、「ここに戻ってくるのって、すごくポジティブで楽しいことなんだ」と選手たちが感じられるような空気を作ることです。
だって、フットボールができるって本当に特別なことです。これだけ多くの人の中で、プロとしてこの環境でプレーできるのはほんの一握り。だからこそ、「さあやろう、またこの場所に戻ってきたぞ」と思えるようなワクワク感で選手を迎えたいと思っています。
オフシーズン明けのフェーズ1では、まずミーティングを中心に進めていきます。プレーシステムの導入はもちろんですが、それと同時にチームカルチャーの共有も非常に重視しています。
たとえば、「どうやってお互いに話すのか」「どうやってコミュニケーションをとるのか」「どうやってチームメイトを尊重し合うのか」。そういった、人として・チームとしての基本的な姿勢も、このタイミングでしっかりと根付かせていきます。
だって、フットボールができるって本当に特別なことです。これだけ多くの人の中で、プロとしてこの環境でプレーできるのはほんの一握り。だからこそ、「さあやろう、またこの場所に戻ってきたぞ」と思えるようなワクワク感で選手を迎えたいと思っています。
オフシーズン明けのフェーズ1では、まずミーティングを中心に進めていきます。プレーシステムの導入はもちろんですが、それと同時にチームカルチャーの共有も非常に重視しています。
たとえば、「どうやってお互いに話すのか」「どうやってコミュニケーションをとるのか」「どうやってチームメイトを尊重し合うのか」。そういった、人として・チームとしての基本的な姿勢も、このタイミングでしっかりと根付かせていきます。
20選手たちに“エネルギー”を感じさせたいという話がありましたが、それを一時的なものでなく、継続していくためには何がカギになると考えていますか? [18:13]
一時的な盛り上がりではなく、どうそのエネルギーを持続させていくか、そこが本当の勝負だと思っています。だからこそ、“カルチャー”というのは、少しずつ、段階的に浸透させていくものなんです。
ありがちなのは、「カルチャーが大事だ!」と初日にあれこれ詰め込みすぎて、選手もスタッフも「もうお腹いっぱい…」となってしまうケース。それでは続きません。私たちが目指しているのは、自然な形で日常に染み込んでいくような文化づくりです。
カルチャーというのは、「どう話すか」「どう一緒に過ごすか」「どうミーティングを開くか」といった、日々のさりげない行動や空気感ににじみ出るもの。だから、チーム内で「こうしていこう」「これはやめて、こういう方向でやってみよう」といった小さな会話や改善の積み重ねが、とても大切だと考えています。
さらに大事なのは、“言葉だけでなく、行動で示すこと”。選手たちに「こういうチームを目指しているんだよ」と口で説明するだけではなく、それを体験として“見せる”ことが必要です。
ちょっと面白い話があります。数年前、ハーバード大学がボストン・セルティックスとロサンゼルス・レイカーズを対象に行った「タッチの力」に関する研究があって、フリースロー後にハイタッチを交わすような“触れ合いの多さ”が、結束力の高いチームに共通していたという結果が出たんです。その年のトップチームが、まさにレイカーズとセルティックスだった。
それを知ったとき、「やっぱり本当に強いチームって、こういう“触れ合い”や“楽しさ”の中にあるんだな」と感じたんです。 だから私たちも、ハイタッチして、笑い合って、勝利を一緒に喜び合って――そういう文化をつくっていきたい。それが今、私たちの目指している姿です。
ありがちなのは、「カルチャーが大事だ!」と初日にあれこれ詰め込みすぎて、選手もスタッフも「もうお腹いっぱい…」となってしまうケース。それでは続きません。私たちが目指しているのは、自然な形で日常に染み込んでいくような文化づくりです。
カルチャーというのは、「どう話すか」「どう一緒に過ごすか」「どうミーティングを開くか」といった、日々のさりげない行動や空気感ににじみ出るもの。だから、チーム内で「こうしていこう」「これはやめて、こういう方向でやってみよう」といった小さな会話や改善の積み重ねが、とても大切だと考えています。
さらに大事なのは、“言葉だけでなく、行動で示すこと”。選手たちに「こういうチームを目指しているんだよ」と口で説明するだけではなく、それを体験として“見せる”ことが必要です。
ちょっと面白い話があります。数年前、ハーバード大学がボストン・セルティックスとロサンゼルス・レイカーズを対象に行った「タッチの力」に関する研究があって、フリースロー後にハイタッチを交わすような“触れ合いの多さ”が、結束力の高いチームに共通していたという結果が出たんです。その年のトップチームが、まさにレイカーズとセルティックスだった。
それを知ったとき、「やっぱり本当に強いチームって、こういう“触れ合い”や“楽しさ”の中にあるんだな」と感じたんです。 だから私たちも、ハイタッチして、笑い合って、勝利を一緒に喜び合って――そういう文化をつくっていきたい。それが今、私たちの目指している姿です。
23「この人のためにプレーしたい」と思う選手が多いことが、カルチャーづくりやリクルートにおいて重要だという話がありました。実際にそれを感じた場面があれば教えてください。 [21:21]
まさにそれを実感したのが、RobertがTB から来てくれた時です。彼と話している中で感じたのは、「この人のもとでプレーしたい」という明確な熱意でした。その姿勢や表情から、本気でそう思ってくれていることが伝わってきたんです。
それは彼だけではなく、Patrick MekariやDyami Brownとの会話の中にも同じ空気が流れていましたし、Jourdan Lewisとも最初から非常にオープンで率直なやりとりができました。彼らに共通していたのは、「何か変化を起こすプロジェクトの一部になりたい」という強い思い。それがとても印象的でした。
これまで他チームで築いてきたつながりが、新たな出会いへとつながっていく。そういう流れが生まれているのは、とてもクールなことだと思います。
実際、選手たちはお互いに情報交換をしています。たとえばBTがMike Evansと話していたり、「あのコーチって実際どうなの?」といった会話が自然に交わされているんです。
だからこそ私は、「TB にいる仲間に電話して聞いてみてほしい」と選手たちに伝えたいんです。結局、それが私たちにとっても一番リアルな評価ですからね。
それは彼だけではなく、Patrick MekariやDyami Brownとの会話の中にも同じ空気が流れていましたし、Jourdan Lewisとも最初から非常にオープンで率直なやりとりができました。彼らに共通していたのは、「何か変化を起こすプロジェクトの一部になりたい」という強い思い。それがとても印象的でした。
これまで他チームで築いてきたつながりが、新たな出会いへとつながっていく。そういう流れが生まれているのは、とてもクールなことだと思います。
実際、選手たちはお互いに情報交換をしています。たとえばBTがMike Evansと話していたり、「あのコーチって実際どうなの?」といった会話が自然に交わされているんです。
だからこそ私は、「TB にいる仲間に電話して聞いてみてほしい」と選手たちに伝えたいんです。結局、それが私たちにとっても一番リアルな評価ですからね。
コーチとしての思想・哲学・成長
5昨シーズンはベテランQBと組みましたが、信頼関係を築き、互いに高めあう上で「コラボレーション」はどれほど重要でしたか? [3:23]
Baker Mayfieldとは、以前LAR時代に短期間ながら一緒に過ごした経験があり、それが信頼関係の土台になりました。彼には本当に感謝しています。昨年は、彼にとっては父となり、夫となり、人間的にも大きく成長した年でした。
彼のフットボールに対する理解は非常に高く、もっと評価されるべきだと思っています。私たちはよく対話を重ねましたが、それがフィールド上でのコミュニケーションにも大きく影響しました。彼のリーダーシップもあって、信頼に基づいた自然なやり取りができていたと感じています。
時には厳しく、率直なやり取りを重ねてきました。実際、Bakerが私に声を荒げたこともありましたが、正面から向き合って話し合い、終わればすぐに前を向ける関係性があったからこそ、どんな場面でも冷静にいられたんです。こうしたやり取りが自然にできる関係性は大きな意味を持ちました。
もちろん、選手との関係は一人ひとり違います。ただ、Matthew Stafford、Jared Goff、そしてBaker Mayfieldというこれまで関わってきたQBたちから学んだことは非常に多く、それぞれの経験を今後の選手たちとの関係づくりにも必ず活かしたいと思っています。
彼のフットボールに対する理解は非常に高く、もっと評価されるべきだと思っています。私たちはよく対話を重ねましたが、それがフィールド上でのコミュニケーションにも大きく影響しました。彼のリーダーシップもあって、信頼に基づいた自然なやり取りができていたと感じています。
時には厳しく、率直なやり取りを重ねてきました。実際、Bakerが私に声を荒げたこともありましたが、正面から向き合って話し合い、終わればすぐに前を向ける関係性があったからこそ、どんな場面でも冷静にいられたんです。こうしたやり取りが自然にできる関係性は大きな意味を持ちました。
もちろん、選手との関係は一人ひとり違います。ただ、Matthew Stafford、Jared Goff、そしてBaker Mayfieldというこれまで関わってきたQBたちから学んだことは非常に多く、それぞれの経験を今後の選手たちとの関係づくりにも必ず活かしたいと思っています。
2018年に初めてLAR の施設に足を踏み入れたときの感覚は、今でもはっきり覚えています。それまで経験したことのないような一体感と前向きな空気が漂っていて、「やあ、元気?」という何気ない挨拶にも、心からの思いが込められていると感じられるような場所でした。
Seanは、毎日チーム施設に“ありのままの自分”としてやってきていました。そこから私が学んだ大きなことのひとつは、「誰かの真似をする必要はない。自分自身でいればいい」ということです。私もそれを意識するようになり、自然体でいることで人との関係性も良くなることを実感しました。Seanがまさにそういう姿勢で周囲と接していたからこそ、信頼関係が築かれていたんだと思います。
彼と話すときは、いつも“本当の対話”ができます。決して形式的なやり取りではなく、心から向き合ってくれる。だからこそ、彼のもとには自然と優れた人材が集まり、彼自身も非常に優れたリクルーターなんだと感じています。
Seanは、毎日チーム施設に“ありのままの自分”としてやってきていました。そこから私が学んだ大きなことのひとつは、「誰かの真似をする必要はない。自分自身でいればいい」ということです。私もそれを意識するようになり、自然体でいることで人との関係性も良くなることを実感しました。Seanがまさにそういう姿勢で周囲と接していたからこそ、信頼関係が築かれていたんだと思います。
彼と話すときは、いつも“本当の対話”ができます。決して形式的なやり取りではなく、心から向き合ってくれる。だからこそ、彼のもとには自然と優れた人材が集まり、彼自身も非常に優れたリクルーターなんだと感じています。
11OCからHCへと移行する中で、どのようなラーニングカーブがありましたか? [9:10]
OCのときは、主に10人ほどのコーチや選手、それに少人数のスタッフを見ればよかったんです。もちろん他にも業務はありましたが、基本的にはその範囲で収まっていました。
しかしHCになると状況は一変します。ディフェンスやスペシャルチームを含めたチーム全体、さらにはあらゆる場面や状況に目を配る必要があります。やるべきことも次々に増えていき、タスクの幅は確実に広がりました。
そんな中で助けになっているのが、チーム全体の体制が非常にうまく設計されているということです。私はフットボールとコーチングに集中できる環境を整えられていて、JamesはRoster構築など人事全般を、Tony Boselliはサポートスタッフやコミュニケーション面のマネジメントを担当してくれています。
正直、今は以前の倍以上の時間を仕事に費やしていますが、それでも役割分担が明確なおかげで、自分の“本業”に集中できているという実感があります。
とはいえ、最近はまだ深くフットボールに入り込む時間が十分には取れていません。ただ、もうすぐ選手たちが合流してくるので、そこからはより現場に集中していけると考えています。
今はだいたい朝6時には始動して 、毎日しっかりとスケジュールが組まれていて、それに沿って行動しています。そしてそこからは、基本的にずっとJamesと一緒に動いています。今の私たちにとっては、それが日常のリズムになっていますね。
しかしHCになると状況は一変します。ディフェンスやスペシャルチームを含めたチーム全体、さらにはあらゆる場面や状況に目を配る必要があります。やるべきことも次々に増えていき、タスクの幅は確実に広がりました。
そんな中で助けになっているのが、チーム全体の体制が非常にうまく設計されているということです。私はフットボールとコーチングに集中できる環境を整えられていて、JamesはRoster構築など人事全般を、Tony Boselliはサポートスタッフやコミュニケーション面のマネジメントを担当してくれています。
正直、今は以前の倍以上の時間を仕事に費やしていますが、それでも役割分担が明確なおかげで、自分の“本業”に集中できているという実感があります。
とはいえ、最近はまだ深くフットボールに入り込む時間が十分には取れていません。ただ、もうすぐ選手たちが合流してくるので、そこからはより現場に集中していけると考えています。
今はだいたい朝6時には始動して 、毎日しっかりとスケジュールが組まれていて、それに沿って行動しています。そしてそこからは、基本的にずっとJamesと一緒に動いています。今の私たちにとっては、それが日常のリズムになっていますね。
14あなたは「状況に応じてスキームを柔軟に変える姿勢の重要性」を語ってきましたが、それはどこで学んだのですか?また、選手たちはその姿勢にどう反応していると思いますか? [11:43]
正直、「どこで学んだ」と明確に言えるわけではなく、むしろ子どもの頃から自然とそういう考え方に触れてきたように思います。
私の父はWing-Tというフォーメーションを使っていて、そこから多様な攻撃を展開していました。特徴的だったのは、ワイドアウトだけ、TEだけ、RBだけといった単一の構成ではなく、異なるスキルセットを持った選手たちを同時にフィールドに並べて、それぞれ異なる役割を担わせること。私は、同じ配置からまったく違うプレーが繰り出される“ミスディレクション”の面白さに、子どもの頃から強く惹かれていました。
その感覚が、LAR に行ったときに“illusion of complexity(複雑さの錯覚)”という言葉で説明されたことで、はっきりと自分の中でつながりました。見た目は同じでも、実際に行うことを変えることで、相手ディフェンスにはまったく別のプレーに映る。その考え方は、自分が幼い頃から自然と体感していたものと一致していたんです。
こういった考え方は、特にカレッジレベルでは重要になります。選手たちの理解力や身体的な特性に合わせてスキームを調整しなければならないからです。
それに加えて、2022年にLAR で経験したシーズンも大きな転機になりました。OLのほぼ全員がケガで離脱し、他のポジションにも故障者が相次ぐ中で、チームとしては結果が出せませんでしたが、それでも「どうやって戦い続けるか」を突きつけられたシーズンでした。だからこそ、「適応する力」や「柔軟な設計」の大切さを、より現実的なレベルで学べたと思います。正直、最高の1年だったとは言えませんが(笑)、楽しくて学びの多い、非常に意味のある時間だったのは間違いありません。
私の父はWing-Tというフォーメーションを使っていて、そこから多様な攻撃を展開していました。特徴的だったのは、ワイドアウトだけ、TEだけ、RBだけといった単一の構成ではなく、異なるスキルセットを持った選手たちを同時にフィールドに並べて、それぞれ異なる役割を担わせること。私は、同じ配置からまったく違うプレーが繰り出される“ミスディレクション”の面白さに、子どもの頃から強く惹かれていました。
その感覚が、LAR に行ったときに“illusion of complexity(複雑さの錯覚)”という言葉で説明されたことで、はっきりと自分の中でつながりました。見た目は同じでも、実際に行うことを変えることで、相手ディフェンスにはまったく別のプレーに映る。その考え方は、自分が幼い頃から自然と体感していたものと一致していたんです。
こういった考え方は、特にカレッジレベルでは重要になります。選手たちの理解力や身体的な特性に合わせてスキームを調整しなければならないからです。
それに加えて、2022年にLAR で経験したシーズンも大きな転機になりました。OLのほぼ全員がケガで離脱し、他のポジションにも故障者が相次ぐ中で、チームとしては結果が出せませんでしたが、それでも「どうやって戦い続けるか」を突きつけられたシーズンでした。だからこそ、「適応する力」や「柔軟な設計」の大切さを、より現実的なレベルで学べたと思います。正直、最高の1年だったとは言えませんが(笑)、楽しくて学びの多い、非常に意味のある時間だったのは間違いありません。
15スキームや方針を柔軟に変える姿勢に対して、選手たちはどのように反応していますか? [13:07]
正直、それは多くのコーチがある程度は意識していることだと思います。ただ昨シーズンに関して言えば、私たちの選手たちはかなり早い段階で順応してくれたという実感があります。
その理由のひとつは、システムの導入を“段階的に組み立てていく”形にしていたこと、そして「なぜそうするのか」を丁寧に説明するようにしていたことだと思っています。
私はただ「これはこうだ」と一方的に伝えるのではなく、「なぜ?」という問いに対してもしっかり向き合いたいと思っていますし、むしろ選手のほうから「なぜ?」と聞いてきてほしい。それがあるからこそ、導入の過程に納得感が生まれ、理解も深まるんです。
もちろん、あるタイミングでは「これはこうやる」と決める瞬間も必要です。ただ、それでも私は選手たちを巻き込んで、一緒に作っていく感覚を大切にしたいと思っています。
たとえば、Mike Evansが「自分はこのルートをこう走っている」と話してくれるような場面があると、それは私にとっても新たな気づきになりますし、ルームにいる他の選手たちにとっても貴重な学びになります。そういう対話が自然に生まれていくことこそが、チームとしての土台を築く鍵になると感じています。
その理由のひとつは、システムの導入を“段階的に組み立てていく”形にしていたこと、そして「なぜそうするのか」を丁寧に説明するようにしていたことだと思っています。
私はただ「これはこうだ」と一方的に伝えるのではなく、「なぜ?」という問いに対してもしっかり向き合いたいと思っていますし、むしろ選手のほうから「なぜ?」と聞いてきてほしい。それがあるからこそ、導入の過程に納得感が生まれ、理解も深まるんです。
もちろん、あるタイミングでは「これはこうやる」と決める瞬間も必要です。ただ、それでも私は選手たちを巻き込んで、一緒に作っていく感覚を大切にしたいと思っています。
たとえば、Mike Evansが「自分はこのルートをこう走っている」と話してくれるような場面があると、それは私にとっても新たな気づきになりますし、ルームにいる他の選手たちにとっても貴重な学びになります。そういう対話が自然に生まれていくことこそが、チームとしての土台を築く鍵になると感じています。
19Sean McVayの環境に飛び込んだ当時、若手アシスタントとして自分に求められていたことは何だったと思いますか?そして、その経験を今どのように活かそうとしていますか? [16:54]
Seanのもとで働き始めて3〜4か月が経った頃のことです。当時の私は、「自分の仕事に集中して、邪魔にならないようにしよう」とばかり考えていました。オフシーズンで、オフィスにひとりこもってプレー図を描いて勉強していたんです。プレーを描くのが好きで、それが自分なりの学び方でもありました。
そんなある日、Seanがふと私のオフィスの前を通りかかって、突然中に入ってきてこう言ったんです。
「おい、すごくいい仕事してるな。本当に感謝しているし、君がここにいてくれて嬉しいよ。」
正直、驚きました。「あ、フットボールの世界でも“いい仕事してる”って言ってもらえるんだ」と(笑)。それまで私がいた環境は、どちらかというと“言われたことを黙ってこなす”のが当たり前。褒められることもなく、ただひたすらやる――そんな“軍隊的”なカルチャーでした。でもSeanのところは違っていました。「お前のことが好きだよ」って伝えていいし、人としての温かさを見せることが当たり前に許されている。そういう文化が根付いていたんです。
もちろん「ここにいるからには常に高いレベルで仕事をしなければならない」という緊張感はありました。でも同時に、「自分自身でいていい」と思える空気があった。今あらためて振り返っても、そんな環境があることの大切さを強く実感しています。
そんなある日、Seanがふと私のオフィスの前を通りかかって、突然中に入ってきてこう言ったんです。
「おい、すごくいい仕事してるな。本当に感謝しているし、君がここにいてくれて嬉しいよ。」
正直、驚きました。「あ、フットボールの世界でも“いい仕事してる”って言ってもらえるんだ」と(笑)。それまで私がいた環境は、どちらかというと“言われたことを黙ってこなす”のが当たり前。褒められることもなく、ただひたすらやる――そんな“軍隊的”なカルチャーでした。でもSeanのところは違っていました。「お前のことが好きだよ」って伝えていいし、人としての温かさを見せることが当たり前に許されている。そういう文化が根付いていたんです。
もちろん「ここにいるからには常に高いレベルで仕事をしなければならない」という緊張感はありました。でも同時に、「自分自身でいていい」と思える空気があった。今あらためて振り返っても、そんな環境があることの大切さを強く実感しています。
スタッフ構築
7初めてHCを務めるにあたり、スタッフの重要性を語っていましたが、実際に組織する中で学んだことは何でしたか? [5:34]
就任当初もっとも時間を割いたのがまさにスタッフ探しでした。これまでのキャリアの中で、「いつか一緒に働きたい」と思う人たちを少しずつリストアップしてきたんですが、それをようやく具体的な形に落とし込むことになったんです。言ってみれば、コーチ版の“デプスチャート”のようなものを頭の中に持っていた、という感じですね。
ただ、現実はドラフトのように「この人を選びます」で終わる話ではなく、自分から連絡を取り、説得し、時には競合チームと争いながら口説き落とさなければなりません。相手には他のNFLチームやカレッジからのオファーもありますし、ご家族の事情もあるため、こちら側も“売り込む”必要がありました。まさにリクルーティングモードに戻ったような感覚でしたね。
カレッジにいた経験がまだ新しかった分、そのスイッチはすぐに入りましたし、そこから一気に動けたと思います。でも正直、このスタッフ構成こそが最大のプレッシャーでした。深夜2時に西海岸の候補者とZoom面談したこともありましたし、非常にタフなプロセスでしたが、それでも最終的に素晴らしいスタッフを揃えられたと感じています。
ただ、現実はドラフトのように「この人を選びます」で終わる話ではなく、自分から連絡を取り、説得し、時には競合チームと争いながら口説き落とさなければなりません。相手には他のNFLチームやカレッジからのオファーもありますし、ご家族の事情もあるため、こちら側も“売り込む”必要がありました。まさにリクルーティングモードに戻ったような感覚でしたね。
カレッジにいた経験がまだ新しかった分、そのスイッチはすぐに入りましたし、そこから一気に動けたと思います。でも正直、このスタッフ構成こそが最大のプレッシャーでした。深夜2時に西海岸の候補者とZoom面談したこともありましたし、非常にタフなプロセスでしたが、それでも最終的に素晴らしいスタッフを揃えられたと感じています。
9あなたはスタッフを“売り込む”立場でもありますが、それについてどう感じていますか? [7:26]
確かにそうですね。私たちは「価値を伝えている」と思っています。このチームの組織の作り方を見てもらえれば分かる通り、“後継者育成”とまでは言いませんが、明確な成長の土台があります。
もちろん今は、JAXで試合に勝つことが最優先です。それは私自身だけでなく、コーチ陣にとっても同じです。ただ、それだけにとどまらず、彼らが将来的にステップアップし、新たなチャンスを掴めるようになってくれたら、それが本当の意味での成果だと思っています。そうやって巣立っていく姿こそが、私たちが正しいことをしている証だと感じています。
とはいえ、現時点では、全員が「JAXで勝つ」ことにしっかり集中しており、その点においては彼らの働きぶりに本当に満足しています。
そしてその一例として、Anthony Campanileを挙げたいです。彼にとっては今回が初めての DCですが、本当に感心させられました。ある日、彼が主導するディフェンススタッフのミーティングに立ち会ったのですが、彼がまるで実際の練習のようにプレーコールを出すと、各スタッフが即座に「自分はCloudを担当します」「Flatは自分が見る」「Hook Curlは自分がカバーします」と口にしていくんです。全員が瞬時に自分の役割を理解し、声に出して共有する。そのテンポと統率には本当に驚かされました。まるで選手たちのミーティングのような一体感と活気があって、「これは本当にすごい組織力だ」と実感しました。
もちろん今は、JAXで試合に勝つことが最優先です。それは私自身だけでなく、コーチ陣にとっても同じです。ただ、それだけにとどまらず、彼らが将来的にステップアップし、新たなチャンスを掴めるようになってくれたら、それが本当の意味での成果だと思っています。そうやって巣立っていく姿こそが、私たちが正しいことをしている証だと感じています。
とはいえ、現時点では、全員が「JAXで勝つ」ことにしっかり集中しており、その点においては彼らの働きぶりに本当に満足しています。
そしてその一例として、Anthony Campanileを挙げたいです。彼にとっては今回が初めての DCですが、本当に感心させられました。ある日、彼が主導するディフェンススタッフのミーティングに立ち会ったのですが、彼がまるで実際の練習のようにプレーコールを出すと、各スタッフが即座に「自分はCloudを担当します」「Flatは自分が見る」「Hook Curlは自分がカバーします」と口にしていくんです。全員が瞬時に自分の役割を理解し、声に出して共有する。そのテンポと統率には本当に驚かされました。まるで選手たちのミーティングのような一体感と活気があって、「これは本当にすごい組織力だ」と実感しました。
10今回加わったコーチたちの中には、もともと良い環境にいた人もいました。そうした人たちに、どのようにして「ここに来るべきだ」と伝えたのですか? [8:18]
私はLARでの経験を「コーチングの博士号を取ったような感覚」と表現しています。もちろん、私はSean McVay本人ではないし、ここはLARではありません。ただ、ここはあの環境の“派生バージョン”とも言える場所なんです。
これまであの系統のシステムや哲学に触れたことがなかったコーチには、こんなふうに伝えました。
「勇気を出して一歩踏み出してみないか?慣れ親しんだ環境ではないかもしれない。でも、新しいことにチャレンジして、何か大きなものの一部になってみよう」と。
もちろん、ジャクソンビルという街の魅力や、州税がないといった現実的なメリットもあります(笑)。でも、私が本当に伝えたかったのは、
「ゼロから、自分たちの理想のチームを作り上げる経験をしよう」
ということです。
それは簡単なことではありません。むしろ大変なことの連続です。でも、そういったことに向き合うこと自体が、フットボールの世界で働く醍醐味だと思うんです。
これまであの系統のシステムや哲学に触れたことがなかったコーチには、こんなふうに伝えました。
「勇気を出して一歩踏み出してみないか?慣れ親しんだ環境ではないかもしれない。でも、新しいことにチャレンジして、何か大きなものの一部になってみよう」と。
もちろん、ジャクソンビルという街の魅力や、州税がないといった現実的なメリットもあります(笑)。でも、私が本当に伝えたかったのは、
「ゼロから、自分たちの理想のチームを作り上げる経験をしよう」
ということです。
それは簡単なことではありません。むしろ大変なことの連続です。でも、そういったことに向き合うこと自体が、フットボールの世界で働く醍醐味だと思うんです。
まとめ
新体制の中で、Coenが何より重視しているのが「カルチャー」や「人との関係性」の構築であることがよくわかる内容でしたね。今までの体制とはやはり一線を画しており、今回ばかりは本気でチームが変わってくれるのではという気がしてなりません。今後もドラフトに向けて期待は高まるばかりです。
次回は、チームの中心となるTrevor Lawrenceをはじめとした主要選手やFA獲得選手に関する話題が中心になります。
シリーズ一覧
- 前編FA・ドラフト戦略
- 中編カルチャーの構築・コーチングの哲学(今読んでいるページ)
- 後編選手の評価・関係性