
昨日以前から噂されていて既定路線となっていたTrevor Lawrenceの契約延長が発表されました。大きな金額となったため想像通り一部の他チームファンからはoverpayだと騒がれていますが、果たしてそうなのでしょうか。
確かに表面上のスタッツは決してエリートとは言えませんが、今までのチーム状況や怪我の影響などを考えた上で試合を見ていた立場から言わせてもらえれば必ずしもoverpayではないと思っています。
もちろん批判を全て否定できるわけではなく現状が続けばそうなってしまうのですが、少なくとも現時点でその判断は早い、と思っています。以下そのことについて書いていこうと思います。
途中でキャップの話が出てきますが、正直契約関係難しいので間違いがあるとは思いますのでその場合はご指摘いただければ幸いです。
Trevor Lawrence契約延長!!
Jaguars, QB Trevor Lawrence agree to 5-year extension worth $275M with $142M fully guaranteed. (via @RapSheet) pic.twitter.com/aVo0gGQzBu
— NFL (@NFL) June 13, 2024
Steezy Trev is here to stay 😎
— Jacksonville Jaguars (@Jaguars) June 14, 2024
We have agreed to terms with QB Trevor Lawrence on a five-year contract extension!#DUUUVAL pic.twitter.com/W7pvc6i3gi
先のプレスカンファレンスでもすでにもうすぐ契約するだろう、という話はありましたがついに契約延長が発表されました。その額なんと
5年275M、年平均55M、142Mフル保証
と昨年契約延長を果たしたCINのJoe Burrowと並んで史上最高額の契約となりました。
最高額タイということでそんなに結果出してないのに高すぎじゃない?という意見が出るのも納得ですね。しかし契約にはこれだけでは測れない色々な要素があります。
契約
まず、近年の高額QBの契約を並べてみました。

契約時期・形態により実質の金額が異なる
まず選手の契約のタイミングというのにはいくつかのパターンがあります。
- Lawrence、Burrow、Herbert、Murray、Allen、Mahomesの場合
元1巡である彼らには”5年目オプション”が存在します。4年のルーキー契約を終えてから1年間はフル保証でプレイタイムやプロボウル選出などによりTierが分けられサラリーが決定します。詳細は以下をご参照ください。また日本語のブログでもかなり詳しく説明しているブログもあるのでそちらも見てみるとよいと思います。 そしてプロ入り4年目より契約延長が可能となっています。チームに早くから実力を示した選手はこのタイミングで契約延長されることが多いです。その場合、新契約は5年目オプション終了後の6年目より開始されるため、5年契約では実質4年目+5年目オプション+新契約を合わせた7年契約、ということになります。これを計算したのが表の右側の「実質の契約」で、このパターンでは実際の数字よりも控えめな契約、ということになります。 - Lamar Jackson、Dak Prescottの場合
5年目オプションが行使されたもののケガの懸念があったり本人が納得しなかったり?で契約延長には至らず、その後フランチャイズタグ契約の後に契約延長に至っています。フランチャイズタグ契約は破棄して新契約となるため、その年から契約が開始され、額面通りの額となります。Prescottもほぼ同じですが違うのは4巡なので5年目オプションがない、というのと2回目のフランチャイズタグ契約で契約延長した、というところですね。 - Deshaun Watsonの場合
5年目オプション行使されるも1年休んだりしてまだ契約が残っていましたが、CLEにトレードされたことで旧契約を破棄し新契約を締結したため、Lamarと同様にその年からの契約、額面通りとなります。それにしても全額保証は今見てもやばいですね。 - Jalen Hurtsの場合
2巡指名のため5年目オプションはありませんが、今年4年目で契約最終年となるタイミングで契約延長となったため4年目+新契約で実質6年の契約となっています。 - Jared Goffの場合
2回目の契約延長で普通の延長なので普通に額面通りです。
Lawrenceの場合は4年目のサインボーナス5.7M+5年目オプションの25.6M、新契約の275Mをあわせて7年306.3Mということになり実質の年平均は43.8Mとなります。その考え方だと額面上は最高額ですが、実質の年平均はLamar、Goff、Watson、Burrowに次ぐ5番目となりそうです。
キャップは年々増加傾向にある
ご存じの通りキャップというのは年々増加しています。以下が近年の状況になります。

新型コロナウイルスの影響で2021年だけ例外的にマイナスとなりましたが、それ以外はコンスタントに上昇しています。特に2022年、2024年の上り幅は非常に大きいです。2022年は前年の反動だと思いますが今年はなんででしょうか。放送のなんかの契約とかそういうのが影響したのでしょうか。
それにしたがって考えると、年が変わればキャップに占める割合が変わるため、同額でも実際のキャップの重さ、つまり高いか安いかは変わってきます。例えばBurrowとLawrenceは同じ金額となりますが、Burrowの契約を2024年の基準で考えれば単純計算で255.4M×24.47% = 62.5Mということになります。この年平均がキャップに占める割合で考えるとLawrenceの契約は21.5%なので上記11人中9番目、さらに上の実質の契約の年平均で考えると17.1%と最安になるのです。
契約時の年齢
当然の話ですが、同じ能力であれば若い方が衰えが遅く伸びしろもあると考えられるため若いに越したことはないですよね。Lawrenceはまだ24歳です。少なくとも他の選手と比べてこの点で不利ということはありません。
あと保証額に関しても賛否ありますが、個人的にはそこまで高くはないと思っています。そもそも能力を疑問視していないからこれだけの契約を結んでいるわけなのでそれは置いておいて、Lawrenceは昨年こそケガで苦しんだもののそれまで欠場した試合はありませんでしたし、素行もよくチームと揉めたりもしませんしそこまで問題になることではないのではないでしょうか。結局はちゃんと活躍するか次第です。
以上から契約としては決して高いものではない、というのが自分の考えです。
なぜLawrenceはOverpayと言われるのか
契約のことは上記の通りですが、とはいえ最高額でもMahomesやBradyなど圧倒的な力を示していればoverpayなどとは言われないはずです。ではなぜそう言われるのか。それは彼のスタッツがすべてでしょう。
キャリアスタッツは、
51G、1,836Att、1,168Comp、63.6%、12,276Yds、63TD、44INT、34Fumble
となっておりとてもよいとは言えず特にターンオーバーの多さは確か現在のQBの中でワーストだったはずです。
https://t.co/KlI44cm55j pic.twitter.com/P7GyLJnMxq
— MVP (@sparks1404) June 13, 2024
pic.twitter.com/K5ErtGunWi https://t.co/YkoomklFM5
— Forever Trill🇳🇬 🇰🇪 🇧🇸 (@mccauley318) June 13, 2024
このスタッツを使ってこんな感じでDaniel Jonesや元JAXのGardner Minshewと比較される始末。
プレーオフの勝利も3年間で1つのみですが、Herbertはプレーオフ0勝で30-33でもしっかり評価されているのでスタッツを残しているかというのは大きな違いだと思います。別にHerbertを落としているわけではなくどっちもいい選手だと言いたいだけです。
あとはもともと世代に1人、Andrew Luck以来の逸材、と言われて入ってきたというのも大きいでしょう。期待が大きかっただけにこの程度か…みたいな。
ただ、今までの経緯や周りの状況も影響を与えていると思うので言い訳をさせていただきます。
Lawrenceのこれまでとこれからの展望
Lawrence不調の原因
経歴
まずNFLへの入りが悪かったです。ルーキーイヤーに悪夢のUrban Meyer政権で3-14となりました。実質この1年を棒に振ったようなものです。
2年目にHCがPedersonになり、KirkやEngramなどの補強を受けてシーズン後半より調子を上げ見事2017年以来の地区優勝、9-8でプレーオフ進出。LAC戦では前半に悪夢の4INTからの奇跡の大逆転勝利。続くKC戦で敗れたもののいいイメージで次につなげました。
3年目はその勢いでいってくれるかと思いましたが、序盤こそ勝ちを重ねたものの後半一気に失速し最後は勢いのあるHOUに捲られてプレーオフを逃しました。ちなみに2022年のBYE明けからケガをしたCIN戦までは14-4と好調でした。
この劇的な転落の原因は自身のケガやメインターゲットであるKirkの離脱、終わってるOL、ディフェンスの崩壊などがあると思います。
ケガ
現地ファンの中では特に2023年に失速した原因はケガによるものが大きいと言われています。
2023/10/15 Wk6のIND戦で終盤にタックルされた際に膝の怪我で以後欠場
2023/12/ 4 Wk13のCIN戦でHigh Ankle Sprainで第4Q欠場
2023/12/17 Wk15のBAL戦の終盤でConcussion、プレーは継続
2023/12/24 Wk16のTB戦で肩の負傷で後半に離脱
Wk17のCAL戦はケガが響いて欠場となっています。
Wk12までは8-3でしたが、Wk13のCIN戦後にチームは1-5(Lawrenceは0-5)となりました。まぁ明らかなスタッツの変化もなかったしケガの影響っていうのははっきりわからなかったんですが…
レシーバー陣
2021年のレシーバー陣はDJ Chark(Week 4にシーズンエンド)、Marvin Jones、Laviska Shenault、Laquon Treadwellでした。これは厳しい。
2022年にKirk、Zay Jones、Engramとコアになる選手を揃え徐々に調子を上げ、BYE明けのWeek 12以降はEPAで全体2位、TD数は5位となりプレーオフに進出。
2023年にはRidleyが加入しさらにパワーアップが期待されました。
役割としてはZay Jonesがディープスレットを担い、Ridleyはそのスペースを使うことを予想されていました。ところがZay JonesがWeek 2に膝のケガを負ってからコンスタントに出場できなくなり、彼の役割をRidleyが担うようになり本来の使い方ができなくなったようでした。
結果Ridleyが期待されたパフォーマンスを発揮できず、特に20ヤード以上のターゲットは32で全体5位も獲得ヤードは388ydsで16位、Y/RRでは60位、Y/Recは65位と振るいませんでした。DPI数ではリーグトップもディープボールのターゲットのうち3/10で3ドロップだったようです。スピードはありますがやっぱり本来ディープスレットではないですからね。なのでTENでは使われ方次第では昨年より活躍すると思うので対戦が怖いです。
さらにWeek13のCIN戦第1QにKirkが負傷離脱しシーズンエンドとなり、Parker Washingtonのちょっとした活躍もありましたがさすがに穴を埋めることはできず。その分EngramがTEで歴代2位のレシーブ数で頑張りましたがそれでも十分ではありませんでした。
Trevor Lawrence near miss touchdowns pic.twitter.com/3tl8vK3VT5
— Ian Hartitz (@Ihartitz) January 9, 2024
ドロップによるTD未遂も多かったです。
Lawrenceの特徴
OLがダメなのもあってクイックスローが多く、TTTはMIAのTuaに次いで2番目でした。
その一方でLawrenceはルーキーシーズンこそチェックダウンに投げる率が11.3%でリーグトップでしたが、その後2シーズン通して3.7%とリーグで一番低く、早く投げる割にチェックダウンには投げていません。
また、ADOTは7位タイで、ディープに投げる率は45回以上試投したQBの中で13.3%で5位、成功率は45.3%で6位、獲得ヤードは1048ydsで6位、TD数は11で2位、ディープボールのTTTは2.95秒でリーグ3位タイ。これらのトップを走るのはTuaでおそらくHill、Waddleをはじめとした爆速レシーバーの影響は大きいと思われます。
こんな感じでOLが弱くディープスレットが不在の中でも実は短い時間で長めのボールを投げてそれなりにいいスタッツを残しています。
INTの多さはレシーバーの問題に加えてこのチェックダウンに投げないことやランがOLのせいで出ず自分がなんとかしようと気負っていたことが原因となっていたのかもしれません。
あとボールセキュリティは普通に甘く、これはただただ欠点として直してもらいたいところです。
欠けていたピースを獲得
今までの話からなにを言いたいかというと、少なくともJAXフロントとしてはLawrence自身に問題があるというよりは周りが悪いと考えているのでは、という話です。特にレシーバーに関してはディープスレットの不在が大きいでしょう。
しかし今オフでようやくBTJという真のディープスレットを獲得。さらにGabe Davisも今までいなかったタイプの選手です。
Davisはターゲットとなって1stダウンかTDになる確率が76.7%とリーグトップ、さらにYds/Recも16.7とリーグ3位。さらに15ヤード以上で113ターゲット、13TD、53 1Dとロングに強い選手です。
また、BTJは17TDと全米をリード。ディープパスで15/22、獲得ヤードは670ydsでOdunzeに次いで2位、TDは12で全米トップ。ディープパスのTD数に関しては2019年に先輩のJa’Marr Chaseが記録した14TD以来最多の記録。ルートランが云々とかそういうのは置いておいてディープスレットとしての力は疑いようがないと思います。
そしてさらに大事なこととして、ディープスレットがいることによってセカンドレベルのエリアが広がります。つまりBTJやDavisによりCBを少し深めにプレーさせることができ、その結果KirkやEngramという頼れるレシーバーがより多くのターゲットを得られます。今まではその十分なスペースがうまくつくれずレシーバーがフリーになれなかったのもあるかもしれません。
まとめると、ケガが回復しディープスレットを手に入れた今年が今までで一番いい状態なのかもしれません。ここから真の力を見せてくれると信じていきたいものです。
とはいえ現状ではファンブル含めターンオーバーの多さはリーグワーストという不名誉な記録があるのは確かだし、今年はぜひそれを覆してほしいです。
最後に今までのLawrenceのハイライト動画を置いておきます。
Frick it, 33 minutes of @Trevorlawrencee highlights ‼️#DUUUVAL pic.twitter.com/BUl9tSCvMj
— Jacksonville Jaguars (@Jaguars) June 14, 2024