
新年明けましておめでとうございます。すでに合法タンパリング期間が2日前から始まっていましたが、現地3月12日に正式にリーグが開幕し、各所で公式リリースが出ています。JAXも9人の選手と契約しましたが、その前に大きな退団のニュースがありました。今回は去った6選手、ついでに再契約しなかった数名の選手についてです。
リリース&トレード
今回の動きによって動いたキャップは以下の通り。基本的にキャップはSpotracを参照しています。
キャップセーブ総額:31.1M
デッドマネー総額:36.8M → 58.8M(リーグ4位)
キャップスペース:40.2M(リーグ13位)
デッドマネーはかなりの額です。今までのBaalkeのツケですね。今年のキャップを増やすためのリストラクチャーもはなさそうですし、おそらく今までの分は今年で清算することになりそうです。
WR Christian Kirk
トレード(HOU⇔2026年7巡)
キャップセーブ:10.4M
デッドマネー:13.6M
2022年にUFAでARIより加入し、Lawrenceの信頼できるターゲットとして初年度から1,238ヤード獲得しキャリアハイを更新しました。翌年にはCalvin Ridleyの加入により出番が減ったものの、十分な働きをしていました。しかしWeek13のCIN戦でパスをキャッチした際に負傷し、腹筋の負傷が判明しシーズンエンド。復活が期待された2024年にはWeek8のGB戦の終盤にキャッチ時に負傷し鎖骨骨折でシーズンエンド。
怪我をする前にはPITへのトレードの噂があったり、2年目のParker Washingtonの成長が見られることからもJAXでの姿は見納めかと思われていましたが、オフが始まってからはHC就任会見にてLawrenceとともに同席していたことから残留も噂されました。どうなるか不透明な状況でしたが、新GM決定後に結局リリースの予定となり、そこにHOUが食いつきトレードの運びとなりました。
リリースより対価があるだけうまくやったとは思いますが、相手がHOUというのは嫌ですね。旅立った選手は応援したいですが、HOUであれば残念ながらできません。
とはいえ今までの3年間には感謝したいです。まだ28歳であり、フルシーズンで出れればまだまだやれるはずですが、この2年の負傷によりキャリアを変えてしまったように思います。怪我さえなければHOUでもNico Collinsに次ぐWR2として手強いターゲットとなることでしょう。健闘を祈ります。
さて、JAXとしては、Kirkからレベルアップする選手を獲得するとは思えません。ただ、怪我から復帰してもサラリーには見合わないであろうこと、BTJが本格的にやってくれるであろうこと、オフェンス自体がガラッと変わることなどからはそこまで影響は大きくないのではないかと思っています。むしろ今年でデッドマネーを消化し、それ以降に使えるお金を増やす方が将来に希望が持てるのではないでしょうか。
WR Josh Reynolds
リリース
キャップセーブ:4.26M
デッドマネー:0M
昨年DENからwaiveされたところを拾いましたが、特にほとんど使うこともなくシーズン終了となり、何もないままにリリースとなりました。特に思うところもありませんが、当然の動きでしょう。
WR Devin Duvernay
リリース
キャップセーブ:2.7M
デッドマネー:3.8M
2024年にJamal Agnewの代わりのリターナーとしてBALから加入しました。しかし、途中ケガで離脱したこともあり、リターナーとしてもWRとしても大した活躍をせずにシーズン終了となりました。離脱時に代役となったWashingtonがTDを見せたことも彼の居場所を無くす原因になったかもしれません。
ということで離脱したことによる影響もないでしょうし、現時点ではPRはWashingtonが務めることになるでしょう。ドラフト次第ではまた変わるかもしれませんが。
TE Evan Engram
リリース
キャップセーブ:5.98M
デッドマネー:13.5M
2022年に1年契約でNYGより加入し、契約当初は賛否ありましたが、加入初年度に890ヤードのキャリアハイを記録してアンチを黙らせました。翌年にはフランチャイズタグからの契約延長を果たし、Kirkがケガをしたことでターゲット数が増えたことも重なり、963ヤードでさらにキャリアハイを更新しました。補欠ではあるもののプロボウルにも選出されています。
昨シーズンは序盤にハムストリングのケガで5試合欠場、さらには肩の関節唇断裂で最後の5試合を欠場したためスタッツとしては物足りないものになりましたが、出場すれば十分な働きをしていました。この3年間通してLawrenceにとって極めて重要なターゲットであったことは間違いありません。
NYGではドロップの印象のとても強い選手であり5年間でした。ドロップ率が6%を切ることはなく、14.7%、11.3%と非常に高い年もありましたが、JAX加入からは4.5%、5.0%、2.1%であり、むしろシュアハンドと言えるほどでした。クラッチなキャッチも多かったです。
また常に練習には最初に現れ、コート外でも選手の模範としてチームを引っ張ってくれました。2024年のHOU戦ではあのLawrenceへのクソダーティヒットに対していち早く駆けつけLawrenceを守りました。罰金にはなりましたが、あれこそ理想の選手の対応でしょう。
ウィークポイントとしては、完全なレシービングTEであり、ブロックできないところです。ブロックの比率(ブロックを100回以上行ったTE中)はここ3年間で35.2%(74/84位)、28.4%(82/83位)、30.3%(80/85位)です。なおBrenton Strangeは2年間で70.7%(14/83位タイ)、49.7%(46/85位)と、Engramのケガにより昨年よりパスターゲットが増えたため前年より減っているもの約半分はブロックしています。
Coenのオフェンスでは、よりブロッキングが重要視されることが予想されます。今回FAで契約した2選手(Mundt、Long)も50%以上を占めていました。その点からブロックのできないEngramは構想から外れてしまった可能性があります。またキャップも大きいため、その2点から今回リリースに至ったのではないでしょうか。
個人的にはとても好きな選手だったので、非常に残念です。しかし、理由もわかりますし、何より新体制を信じているのできっといい方向に行ってくれるでしょう。とにかく彼にはこの3年間JAXを支えてくれたことを感謝し、気持ちを切り替えていきたいと思います。
OL Mitch Morse
引退
キャップセーブ:5.4M
デッドマネー:3.2M
元プロボウラーですが、世代交代により昨年BUFからリリースされたところを拾う形となりました。Luke Fortnerからは明らかなレベルアップとなりましたが、やはりかつてのプロボウラーとしての力はありませんでした。次の選手までの繋ぎ、ということではあったもののまさか1年で引退するとは予想外でした。
とはいえ、埋められない戦力ではないです。というかFAですでに埋まりました。さらにドラフトで獲得する可能性もまだありますし、さらに戦力アップも期待できます。
CB Ronald Darby
リリース
キャップセーブ:2.38M
デッドマネー:2.75M
彼も2024年のFAで獲得しましたが、まさかのスターターとしての起用でした。当時から不安ではありましたが、その不安は的中し見事にやられ続け、気づけばBuster Brownにスターターを奪われヘルシースクラッチとなりました。完全なBaalkeの失敗でしょう。彼に関しては思い入れもなくリリースは当然です。本当にひどい契約でした。
FA流出
TE Luke Farrell
UFA(→SF 3年20.25M)
ブロッキングTEとしてまずまずの活躍をしてくれましたが、そこが評価されたのか出世しました。SFではKittleもいますし、彼の指導でさらに開花するかもしれません。
ブロッキングを重視するチーム状況からは再契約の話もあったのかもしれませんが、この金額は予想外ですし、そこで決裂したのかもしれません。それかBaalkeの遺産はあまり残したくないんでしょうか?そういったことはあまり新GMは考えなさそうではありますが。SFではうまく使ってくれそうですし、頑張ってほしいです。
S Andre Cisco
UFA(→NYJ 1年10M)
ボールホークのSとして2021年3巡で加入したものの、悪のMeyer政権ではしばらく起用してもらえず、シーズン残り3試合の時点でようやく起用されるようになりました。その後はスターターとして3年間出場し続け、2023年には4INTを記録し、チームの顔になりつつありました。今年はシステム的に崩壊したこともありましたが、被パサーレーティングも125.7、ミスタックル率も13.9%と例年通りあまりいいスタッツとはいえませんでした。
契約延長するには確かに微妙ではあり、放出も止むなしかと思います。まだ安価での契約は受け入れられないでしょう。Cisco自体はまだポテンシャルを十分に発揮できていない可能性はあり、NYJに行くことでそれを証明してまた高額な契約を勝ち取れることに期待します。
QB Mac Jones
UFA(SF 2年7M)
2021年1巡で指名され、NEのスターターとしてプレーしていましたが、スターターより降格、その後下位指名権と引き換えに出身であるジャクソンビルに戻ってきました。
結局Lawrenceがシーズンエンドとなり出番がありました。確かにQB2としてはまずまずだと思いましたが、予想を超えるものはありませんでした。
特に引き留めは必要ないと思いましたが、ほぼ同じ額でQB2 Nick Mullensと契約しました。選手としてのレベルは落ちるのは間違いないですが、彼にはそれよりむしろUdinskiのシステムをLawrenceに伝える役目があると思っているので、まぁ許容範囲でしょう。
Mac Jonesは元々ドラフト時にはSFが興味を持っているという話もありました。Purdyが怪我しない限り出番はほとんどないと思いますが、Shanahanのシステムで輝くといいですね。Darnoldのようなキャリア復活もあり得るので、少しだけ期待します。
まとめ
Kirk、Engramの退団は悲しいものの、これが大きな変革の一歩ということでしょう。新GMにはキャップを整理し、ドラフトやFAで補強に備える意図が感じられました。
デッドマネーは増えたものの、これは過去のツケを今年中に清算し、来シーズン以降のチーム構築に繋げるために必要なプロセスだと思います。Baalkeの呪縛から抜け出すためにも必要な動きでしょう。
すでにFAはひと段落でもう大型選手の加入はなさそうですが、ドラフトでどう動いていくのかが焦点になってきます。これからの動向にも注意していきたいです。