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Liam Coen
今夜までは、ここ6回ほどの練習でラン攻撃がうまくいっていたこともあって、全体としてはある種の自信というか、ある程度の手応えは感じていました。でも、今夜の試合でパス攻撃が少し開けて、選手たちがスペースに出ていけるようになったのを見て嬉しかったですし、プロテクションもうまく機能していました。これまでパスゲームが全く出ていなかったわけではないのですが、コントロールされた練習環境だと、スクリプト通りに進める中でそうしたプレーを出すのは難しいこともあるので、今夜のような形で見られたのは本当に良かったです。
スクリメージハイライト
ハイライト
ディフェンスのターンオーバーと先制TD
スクリメージは大きなディフェンスのプレーで始まりました。新加入のJourdan Lewisが控えQBのNick Mullensのサイドラインへのルートを読み、飛び込んでインターセプト。このビッグプレーにより1stチームのオフェンスは良いフィールドポジションを獲得。Lawrenceがそれを活かしBTJへ15ヤードのTDパスを決めました。これで1Qに1stチームが先制し、会場の11,000人のファンを沸かせました。
再びBTJへの一撃
Lawrenceは2Qもリズムを崩さず、レッドゾーンで再びBTJに4ヤードのTDパスをヒット。この日2本目のTDでスコアは14-0に。2年目のBTJはディフェンスの隙を突く動きを繰り返し、ルーキーシーズンでブレイクした実力を証明。
FGとロングキック
オフェンスがドライブを止められた場面では、Cam Littleがその脚力を披露。Littleはこの日3本のFGを全て成功(35ヤード、39ヤード、58ヤード)。58ヤード弾は会場を沸かせました。
バックアップオフェンスがエンドゾーンに到達
後半に入ると、2ndチームのオフェンスがこの日唯一のTDを記録。ルーキーRBのLeQuint Allenが力強いゴールライン際のランでフィニッシュ。ただしそれ以外のシリーズでは、1stチームのディフェンスがバックアップオフェンスをエンドゾーンから締め出し、FGに抑えました。
重要なレッドゾーンでのターンオーバー
1stチームのオフェンスも完ぺきではありませんでした。あるシリーズでLawrenceがParker Washingtonへのパスを試みましたが、Zech McPhearsonがインターセプト。エンドゾーン内でのこのプレーは2ndチームディフェンスに勢いを与えました。
ゲームを締めくくるTDドライブ
ミスの後、Lawrenceは試合終盤に1stチームディフェンス相手のゲームウィニングドライブを演出。残り10秒を切った場面でBrenton Strangeへ5ヤードのTDパスを成功。このプレーが最終スコアを23-9とし、1stチームが勝利。スターター同士が対戦した貴重なシリーズでのTDで夜を締めくくり、観客席からは大歓声が上がりました。
注目選手のパフォーマンス
オフェンスの注目選手
複数の攻撃陣が強烈なパフォーマンスを披露しました。Lawrenceは全体的に鋭い動きを見せ、パス成功19/27、241ヤード、3TD、1INTという成績を残しました。2つのミススロー(レシーバーの後ろへのパス、エンドゾーンへのINT)を除けば、Lawrenceは試合を完全に掌握し、自信をもって素早い判断を下していました。
彼のお気に入りのターゲットはBTJで、6キャッチ、65ヤード、2TDという高成績。BTJはゴールライン付近で常にディフェンダーと距離を作り、競り合いでも強い手を見せました。
新加入のDyami Brownも存在感を発揮。4キャッチ、71ヤードを記録し、そのすべてがファーストダウン獲得につながりました。中でも30ヤードのキャッチはゾーンの空白地帯に入り込んだ後、ランアフターキャッチで距離を稼ぐ好プレーでした。
Brenton Strangeも5キャッチ、57ヤードの好成績。序盤には25ヤードのレシーブを決め、終盤のゲームウィニングドライブでは短いパスを3本連続でキャッチし、そのうち1本が試合を締めくくるTDとなりました。
控えのスキルポジションの選手たちも見せ場を作りました。2年目のJoshua Cephusは、この夜最大のキャッチともいえるプレーを披露。Tyson Campbellの厳しいカバーを受けながら、倒れこみつつ片手でディープパスをキャッチしてみせました。
バックフィールドではルーキーがチャンスを活かしました。UDFAのJa'Quinden Jacksonは合計約30ヤードを力強く走り、LeQuint AllenはTDランに加え、バックフィールドから2キャッチを記録。そのうち1回はLBを華麗にかわす場面もありました。
注目のTravis Hunterも限定的なスナップながら3キャッチ、43ヤードを記録。21ヤードの中央へのキャッチでは爆発力を示し、レッドゾーンでもマークを引き付けました。
全体として、1stチームオフェンスはこの夜ほとんどの時間で効果的に前進し、コーチ陣もパスゲームで多くのビッグプレーがでたことに満足していたようです。
ディフェンスの注目選手
守備ではパスラッシャーが主役となりました。Travon Walkerはこの日3サックを記録し、圧倒的な存在感を発揮。2ndチームOL相手にポケットを繰り返し崩壊させ、追加のブロッカーをつけても止められませんでした。
Devin Lloydも中央からのブリッツでMullensにサックを浴びせるビッグプレーを見せました。Lloydはランストップやチェックダウンパスのタックルでも俊敏さと判断力を見せ、記者から「燃えるミサイルのよう」と評されました。
JHAとTyler Lacyもそれぞれ1サックを記録。セカンダリーではJourdan Lewisが冒頭のアクロバティックなINTを決め、McPhearsonはLawrenceからのレッドゾーンINTという、この夜2ndチームディフェンス最大のハイライトを演出。さらにJarrian Jonesは目立たないながらも三度のPBUを記録し、そのうち1回はBrownへのTDパスを阻止するプレーでした。
ランディフェンスでも力強さを見せ、LloydとOluokunがインサイドランを豪快に止め、フロント7がボールキャリアへ群がりました。
課題点
1stオフェンスの主なミスは1INTと数回のパスミス。加えてオフェンスには数回の反則(フォルススタートやホールディング)があり、Liam Coenも「完璧と言えない」とコメント。
2ndチームオフェンスはプロテクションの崩壊が問題に。Mullensは1stチームディフェンスの前に少なくとも5回サックされ、早い段階でのINTも誘発されました。得点はAllenの1本のみで、それ以外のシリーズはFG止まり。
パスディフェンスでは好プレーもありましたが、大きなゲインを許す場面も課題。スクリメージ全体で20ヤード以上のビッグプレーを約6回(うち2回は先発ディフェンス陣)許しており、今後はセカンダリーの連係ミス改善が重要課題となります。それでもターンオーバー奪取や全体的なスピード感ある攻撃な守備スタイルはポジティブに評価されました。
負傷者情報
このスクリメージでポジティブだった点の1つは、新たな大きな負傷者が報告されなかったことです。一部の選手は既存のケガや予防的な休養のため、スタジアムスクリメージを欠場しました。
BTJはスクリメージ後に軽い体調不良があり翌日の練習を欠席しましたが、試合中は完全に出場しておりパフォーマンスにも影響はありませんでした。
全体的にこのモックゲームでは主要ベテラン陣が無事に実戦形式をこなし、比較的健康な状態で終えることができました。
戦術面・スキーム面での所見
金曜日に行われたスタジアムスクリメージは、2025年の新コーチングスタッフによる新たな戦術を始めて披露する場となりました。
最も注目されたのは、ルーキーTravis Hunterの二刀流起用です。ドラフト全体2位指名の彼はオフェンスとディフェンスの両方でプレーし、先発としてWRで17スナップ、CBで21スナップを消化しました。キャンプで両方のポジションを実戦形式でこなすのはこれが初めてでした。
オフェンスでは主に3WRセットで起用され、スペースでボールを持たせてランアフターキャッチの爆発力を見せる形が多くありました。ディフェンスでは主にゾーンカバレッジのアウトサイドCBを務め、パスラッシュの影響もあってかターゲットにされる機会は少なかったようです。OCのGrant Udinskiは「練習の途中で攻守を切り替える選手なんて見たことがない」と驚きを語っています。ここまでHunterは負担をうまくこなし、Coenも「ボールを持った時の彼は非常に高いレベルでプレーしていた」と称賛しました。
OLについては、ケガの影響で異なる組み合わせを試す場となりました。スイングタックルのCole Van Lanenが欠場したため、RTのAnton Harrisonを一時的にLTに回し、控えのFred JohnsonをRTに配置。これはLTのWalker Littleが欠場した場合の緊急対応役を探る目的で行われました。Coenは「両サイドを経験させておきたい。どちらが適任化はやってみないとわからない。」と説明。この試みを含め、OLの柔軟性を高く評価する発言は後日OCのUdinskiからも出ており、内外・左右どこでもプレーできる選手の希少価値を強調しました。
スクリメージではランブロックは概ね良好でしたが、控えQBのパスプロテクションには課題が残りました。また、ゴールライン付近ではStrangeの役割拡大に合わせ、多数のTEセットを採用する傾向も見られました。
オフェンスのプレーコールや店舗は比較的標準的で、ランニングクロックを使用し、前81プレーほどで実際の試合展開を模した形式です。プレーアクションやダウンフィールドへのトライも多く、Coenは「今夜は思った以上に爆発的だった…うちにはビッグプレーを作れる選手がいる」と語りました。パスはWR、TE、RBと多様な対象に配分され、Lawrenceは全体にうまくボールを散らしていました。細かいところとしては、RBやTEによるチップブロックでタックルのヘルプを行いましたが、それでもディフェンスはプレッシャーをかけていました。おそらく今後必要に応じて調整されると思われます。
ディフェンスでは新DC Anthony Campanileが予想通りの戦術を採用。ゾーン主体でQBに視線を向けるカバレッジを多用し、ほぼベースディフェンス(4人ラッシュ、最小限のブリッツ)で展開されました。狙いは派手なスキームよりも正しいポジショニングと基礎技術の実行です。Coenは「プロボウルゲームのようなシンプルさ」と表現し、「彼はほとんどプレッシャーをかけずにプレーさせていた」と語りました。これは意図的であり、Campanileはキャンプ序盤からプレースタイルと基礎を重視しています。スクリメージでも守備はランフィット、カバレッジドロップ、パスラッシュのレーン管理を重点的に行い、複雑なブリッツやサブパッケージは控えました。ゾーン時でも好機を逃さず、McPhearsonのINTはゾーンから生まれ、複数のPBUもQBの目を読んだ結果でした。こうしたゾーン主体の守備は、シーズンでのターンオーバー増加を狙ったものですが、課題としてはゾーンの隙間を突かれてビッグゲインを許す場面もありました。また、けが防止のため全プレーで完全タックルは行いませんでしたが、ディフェンスは軽く当たるテンポでも群がって確実に捕まえていました。総じて、オフェンスもディフェンスも戦術はシンプルにとどめ、プレシーズンで本格的なプレーブックを披露する前のリハーサルとして機能しました。
最後に
いろいろ総括すると、Coenも前向きなコメントをしており、コーチ陣の総意としてもこのスタジアムスクリメージは成果の多いものとなったと同時に、今後の課題も明確になった重要なものとなりました。
すでにプレ初戦を終えてから見返すとこのディフェンスの好調はなんだったんだろうとも思ってしまいますね。まぁ次に期待することにしましょう。